「人間」と「人口知能」は一体どこが違いになるのか。(備忘録:『東大准教授に教わる「え、人工知能ってそんなことまで出来るんですか?』)

 

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この本では人工知能アルゴリズムの基本的な概念から丁寧に説明してくれていて、

また攻殻機動隊やトランセンデンスのようなSFの世界観を例に上げながら具体的にどういったものが実現可能なのか、今現在(2014年12月)の見解を述べてくれていた。

 

googleでも適用されている"ディープラーニング"についても記載されていた。

本書では

ディープラーニングは画像のどこに注目すればいいかを判断する「特徴量」

を作り出し、それによって顔が見分けられるようになりました。

脳の構造を模倣した「ニュートラルネットワーク」の構造をより複雑化(深く)し、複雑な問題を高い精度で解けるようにする試み。音声や画像認識で成果を上げつつある。

と説明されている。

つまり脳の処理の仕方と限りなく処理を近づけているアプローチで、純粋なパターンを機械学習し続けるアプローチとは異なり、構造化されている分、何と何のデータが関連性があるのかというところがユニークな点である。

 

一方で人間らしさの強みがこれによって浮き彫りになっているところが非常に興味深かった。それは本書では

人間の強みですね。サンプル数すなわちデータ数が少なくても自分でストーリーを構築して、人にアウトプットできる。

 と説明されていた。

この点が非常にスタートアップと似ていると感じた。

スタートアップも少ないユーザー数の中、定量データやトラクション、とユーザーインタビューのような定性的なデータも集めながら、ユーザーニーズのシグナルを深堀りしている。そして、データの確証はないけど、ストーリーメイキングによって確信によって腹ぎめして突っ込んでいく。とても人間らしい。逆に言うとこの作業がスタートアップで入ってないと、大手の新規事業のように理詰めで出来たプランがほとんど成功してしまうのであろう。

 

最近のSF系の映画やアニメなどでも人間自体がロボット的な思想になり、ロボットのほうがより人間的な部分を残していることを描く作品が増えてきたが、(直近では楽園追放など)改めて、「人間が」「人間らしい強みで」「どんなバリューを出していくのか」について考えを深めていきたい。

 

 

「心」と「プロダクト」とのリンク (備忘録:「Hooked ハマる仕掛け 使われ続けるサービスを生み出す[心理学]☓[デザイン]の新ルール)

 

 

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こちらの書籍では、人間の行動を習慣づけるフレームワーク「フック・モデル」を活用して、プロダクトと心理学をどう実践的にリンクさせていくか、またfacebookやPinterestなどの事例も交えて考察していた。

 

フックモデルは下記4つのステージから成り立つ。

・Trigger

・Afction

・Reward

・Investment

この4つはあくまでユーザーの心の変化をセグメンテーションしていて、そこに具体的にどのようにプロダクトに触ってもらうか、プロダクトから感じ取ってもらうかを意図的に設計していくことを説明している。

 

特に興味深かったのが、Investment。

これは例えばPinterestでいう、自分のpinを増やしていく行為に当たるが、

これが、「Use」なのか「Investment」なのかには絶望的な違いがあるように感じた。

なぜなら、Useに対してはRewardは発生しないからだ。

もし仮にPinterestがUseの観点でのプロダクトになっていたら、1pin単体でのフォローやLikeではなく、ボードに対してのフォローになっていたであろう。

あくまできれいなデザインをクリッピングするだけなら、ボードが一つの作品になるまで完成しない。

ブログで言う、「下書き保存」の領域だ。

だけど、Investmentの観点になると、「完成」という概念ではなくなり、永続的に「育てていく」認識に変わる。

 

またもう一つ興味深いのが、ユーザーが時間軸に沿って

・初月:0.5%

・33ヶ月目:11%

・42ヶ月目:26%

のユーザーがそれまで無料で利用していたサービスを有料で使用するようになるという点。

 逆に言うと「42ヶ月目にフックモデルがサイクルし続けている」ことを念頭におくことがポイントだ。

 

 

『内的トリガーは自動的に心に現れるもので、見ることも、触れることも、まして聞くことも出来ない。内的トリガーにプロダクトが結びつくことは、消費者向けテクノロジーにおける成功を意味する。』

 

つまりこちらが意図しているフック以上のアクティビティ(アプリ起動数)などをトラッキングすると、内的トリガーの成熟率を可視化出来るのではないかという仮説を検証してみたい。